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エッセイ「本だけ眺めて暮らしたい」【374】|MK新聞連載記事

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MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、大西信夫さんによる様々な身近な事柄を取り上げたエッセイ「本だけ眺めてくらしたい」を前身を含めて1988年5月22日から連載しています。
MK新聞2019年6月1日号の掲載記事です。

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古本チェーンによって貼られた値札シール

本だけ眺めてくらしたい

ブックオフの棚に並んだ文庫本の中から、書名を見て気に留まった一冊を手取る。
そして、どんな内容かと、本を裏返してジャケットに記載された紹介文を読もうとする。
ところが、貼られた値札シールが本の内容紹介にかかっていることがよくある。一部が隠れて見えないのだ。
こんなこと、ちょっと気をつけるだけで、避けられるだろうに。
一部なので、そこが読めないからって、概要がわからないわけではないし、前後から推測できる場合もある。
ただ、肝腎な商品の紹介文なのに、客がこの本を購入するかどうかを決めるための重要な情報の一つなのに、どうしてこんなことを平気でできるのだろうと思う。
また、商売を抜きにしても、この値札シールを貼った人は、書店で本を買うことのない人なんだろうなと想像する。
文庫本の品定めをする時には、まず裏側の内容紹介に目を通す人がほとんどだと思うが、私生活で書店を利用している人が仕事で値札シールを貼ることになったとして、内容紹介の一部が見えなくなるように貼るとは考えにくい。
ところで、こういう本がたまたま一冊だけあった、というのではない。これまでに私は何冊もこういう本を買っている。
さらに、驚いたことには、というか、非常に興味深いことに、これがある一つの店舗だけの話ではないということだ(少なくとも私が利用するいくつかの店舗)。
もしかしたら、この古本チェーン店のマニュアルか店長や先輩の指導でそのような指示がなされているのかもしれない。
例えば「値札は文庫本に付されたバーコードに近接して貼ること」(会計や管理システムの都合上?)とか。仮にそうだとしても、いくつもの疑問が浮かぶ。
全国の店舗で働く人の数は相当なものだ思うが、現場の“本を愛する”従業員(というか常識的な従業員)から「紹介文の一部が隠れる」と異議が出ないのだろうか。
そんな異議があったとして(ないとは思えないのだが)、現場従業員の意見を吸い上げる仕組みがないのだろうか。
そんな意見が会社の上層部に届いたとして、なぜ改められないのか。
低価格の文庫本は利益が薄いからシステムや効率優先なのか。
いや、そもそも現場が勝手にやっている事なのか。客より優先される現場で働く者の論理とは? 

MK新聞について

「MK新聞」は月1回発行で、京都をはじめMKタクシーが走る各地の情報を発信する情報紙です。
MK観光ドライバーによる京都の観光情報、旬の映画や隠れた名店のご紹介、 楽しい読み物から教養になる連載の数々、運輸行政に対するMKの主張などが凝縮されています。
40年以上も発行を続けるMK新聞を、皆さま、どうぞよろしくお願いします。

ホームページからも最新号、バックナンバーを閲覧可能です。

MK新聞への大西信夫さんの連載記事

1988年以来、MK新聞に各種記事を連載中です。

1988年5月22日号~1991年11月22日号 「よしゆきの京都の見方」(45回連載)
1990年1月7日号~1992年2月7日 「空車中のひとりごと」(12回連載)
1995年1月22日号~1999年12月1日号 「何を見ても何かを思う」(64回連載)
1996年4月16日号~現在 「本だけ眺めて暮らしたい」(連載中)

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