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エッセイ「本だけ眺めて暮らしたい」【368】|MK新聞連載記事

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MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、大西信夫さんによる様々な身近な事柄を取り上げたエッセイ「本だけ眺めてくらしたい」を前身を含めて1988年5月22日から連載しています。
MK新聞2018年12月1日号の掲載記事です。

本だけ眺めてくらしたい

電子書籍を管理するのにCalibreというソフトを使っている。
紙の本を自分で裁断して電子化した約一万三千冊の書誌データを様々なキーワードで検索、該当する本の表紙画像をコンピュータ画面に一覧列挙してみたり、言わば「仮想の本棚で遊ぶ」のはとても楽しい。
ただ、まだ電子化していない蔵書がその数倍?あり、それがデータベースに含まれていないのが難点……が前回の話。

で、その続き。実はその点についてはウラ技がある。
Calibreは電子書籍ファイルそのものがなくても表紙画像を含む書誌データのみの「仮想の仮想の本」を登録することができるのだ!
つまり、電子書籍の体(てい)でとりあえず空(から)の本を登録し、書名だけを入力、それに現物の紙の本の書誌データを紐付ける(リンクする)。
表紙画像と書誌データは、電子書籍と同様、手作業で入力する必要はなく、Amazonなどの公開されているものをクリック一つで自動で取り込んでくれる。そこに、自身で設定した検索用のタグを付加すればいい。
そうすれば、電子書籍も紙の本も区別なく扱える、全蔵書のデータベースが出来あがる。

電子書籍はコンピュータやタブレットの画面で読めるし、紙の本は現物を収納している棚や箱の管理アドレスを2A-3などと書誌データに記録しておけば、読みたいときにあちこち探したり、はじめから探すのを諦めたりすることもなく手に取ることができる。
念のために断っておくが、ウラ技の件は別にして、Calibreのデータは蔵書データベースを目的とした蔵書データベース作りではない。
あくまで結果として、置いておく場所のない蔵書を一冊ずつ電子化していくなかで自ずと蓄積されてきたもの、言わば私的な(小さな)ビッグデータだ。

「本はやはり紙の本でなければ」とあたりまえのことを言ってもいいのだが、万単位の蔵書を電子化して初めて、デジタルならではのメリット、楽しみ方が実感できるようになるのも確かだ。
むしろ、極少数の(本棚一つ? あるいは一部屋に収まる)愛読書(モノとして愛着ある本)を除いて、すべての蔵書を電子化したほうが、蔵書という資産が生きると言ってもいい。
ちょうど、音楽における電子化でiTunesとiPodによりCDなどの所有するすべてのデジタル音源を簡便、自在に聴けるようになったように。
紙の本として死蔵している(すぐに接することができない)本は電子化により命を吹き返し、すべての蔵書が日々私を触発し続ける存在となる。

MK新聞について

「MK新聞」は月1回発行で、京都をはじめMKタクシーが走る各地の情報を発信する情報紙です。
MK観光ドライバーによる京都の観光情報、旬の映画や隠れた名店のご紹介、 楽しい読み物から教養になる連載の数々、運輸行政に対するMKの主張などが凝縮されています。
40年以上も発行を続けるMK新聞を、皆さま、どうぞよろしくお願いします。

ホームページからも最新号、バックナンバーを閲覧可能です。

MK新聞への大西信夫さんの連載記事

1988年以来、MK新聞に各種記事を連載中です。

1988年5月22日号~1991年11月22日号 「よしゆきの京都の見方」(45回連載)
1990年1月7日号~1992年2月7日 「空車中のひとりごと」(12回連載)
1995年1月22日号~1999年12月1日号 「何を見ても何かを思う」(64回連載)
1996年4月16日号~現在 「本だけ眺めて暮らしたい」(連載中)



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