春の京都御苑は「近衛邸跡の糸桜」など枝垂桜やサトザクラなど桜の楽園
京都のど真ん中にある京都御苑は、京都市民憩いの場として親しまれています。
春には京都でも有数のお花見スポットとして、多くの人が集まります。
中でも室町時代から有名な近衛邸跡の糸桜は、今も大人気です。
近衛邸跡以外にも、「出水の枝垂桜」や京都御所の「左近の桜」、遅咲きの出水の小川のサトザクラまで、桜シーズンは最初から最後まで見どころ満載です。
MKドライバーが選ぶおすすめ桜スポットランキング2021「第10位」
近衛邸跡(このえていあと)の糸桜
見頃は3月下旬~4月中旬
- 3月下旬~4月上旬に見頃の糸桜(枝垂桜)
- 4月上旬~中旬に見頃の八重紅枝垂桜
前半の主役・糸桜(枝垂桜)
3月下旬の糸桜がおすすめ
近衛邸は、古くから糸桜の名所として京都でも人気です。
明治維新後に邸宅はなくなりましたが、今も跡地では美しい糸桜が咲き誇り、おすすめです。
一般に、糸桜と言われますが、種類としては枝垂性の江戸彼岸(エドヒガン)です。いわゆる枝垂桜と同じものです。
京都では、単に「糸桜」というと、近衛邸跡の枝垂桜を指す場合が多いです。
糸桜は遺伝的に遺伝的に多様性があるため、開花期にも花色にも木によって違いがあります。
ほとんど白に近い淡紅色の花から、紅枝垂桜と称した方がよいくらい紅色が濃い花もあります。
三分咲きくらいの木と見頃の木が混じって咲きます。
早咲きの糸桜は、京都に数ある枝垂桜の中でも、かなり早い開花です。平野神社の魁桜と同じかやや早い開花です。
近衛邸跡ではありませんが、後述の京都御苑の南西部にある「出水の枝垂桜」は、京都で最も開花が早い枝垂桜のひとつとして知られます。
しかし、よくよく観察すると、近衛邸跡の南東部にある朔平門の向かい側にある枝垂桜は、出水の枝垂桜を上回る早咲きの枝垂桜です。
室町時代から知られる糸桜の名所
近衛邸の糸桜は、古くから記録が残る人気の桜です。
1378年に近衛道嗣(みちつぐ)が足利義満に所望され、「花の御所」に糸桜を移植したと日記に記しています。
かなり古くから近衛家と糸桜に縁があったことがわかります。
16世紀前半に京都の街を描いた洛中洛外図屏風(歴博甲本)にも、庭に桜が咲き誇る近衛邸が描かれています。
ただし、これらの近衛邸は京都御苑内ではなく、今の同志社大学新町キャンパスの位置にあった近衛邸です。
戦後、復活を遂げた桜の名所
明治維新後、公家町が取り壊されて京都御苑として整備されてからも、糸桜の名所として近衛邸跡は人気を集めていました。
しかし、古くから知られた糸桜も、昭和の初めにはすべて枯れてしまいました。
さらに、戦中戦後に食糧増産のために畑にしたり、薪炭とするために伐採したため、1955年の時点では、すでに樹齢20年ほどの若い枝垂桜が6株あるのみという惨状でした。
それ以来、佐野藤右衛門らの手により、60年をかけて京都を代表する立派な枝垂桜の名所へと復活を遂げ、かつて以上に人気を集める桜のおすすめスポットとなりました。
京都人にとっての大定番お花見スポット
糸桜は、ソメイヨシノに先駆けて3月下旬に開花し、3月末から4月初めに満開となります。
この時期になると、平日でも朝から多くの花見客で賑わうおすすめスポットです。
近衛邸跡の糸桜は、案外京都の桜を紹介するガイドブックには載っていません。
ある意味では、京都人にとっての秘密の人気お花見スポットです。
近衛邸の桜は、地盤の関係か、横へ横へと広がる樹形であるのも特徴です。
桜の下に入ると、上から糸のように下りてくるように見え、おすすめです。
後半の主役・八重紅枝垂桜
4月中旬には八重紅枝垂桜が見頃に
枝垂桜が散りはじめると、続いて八重紅枝垂桜が開花します。
枝垂桜とは異なり、八重紅枝垂桜は同じ遺伝子を持つ園芸品種なので、数本がほぼ同時に開花します。
八重紅枝垂桜は、もともと京都の近衛邸にあった桜を、伊達政宗が仙台に持ち帰ったといわれます。
それが、明治以降に改めて京都へと持ち込まれると人気を博し、京都でも平安神宮や原谷苑をはじめ、各所で植えられています。
京都へと里帰りし、あらためて人気を集めるようになった桜です。
ゆっくり楽しむなら糸桜より八重紅枝垂桜の時期
近衛邸跡の八重紅枝垂桜は、糸桜と同じく横へと大きく広がった見事な桜です。
しかし、糸桜の見頃の時期と比べると訪れる花見客は格段に少なく、ゆっくりと楽しむことができるので、おすすめです。
2018年に京都各所へ甚大な被害を与えた台風21号の被害も少なくありませんでしたが、八重紅枝垂桜は2019年も見事に咲き誇りました。
八重紅枝垂桜と同時期に、京都御苑内では御車還(みくるまがえし)など、やや遅咲きのサトザクラが見頃を迎えています。
近衛邸跡に限らず、京都御苑中が桜であふれます。ソメイヨシノは散りつつある4月中旬の京都御苑は、かなりおすすめです。
4月下旬になると、八重紅枝垂桜も散りはじめ、一ヶ月近く続いた近衛邸跡の桜の季節は終わりを迎えます。
京都御苑内では、4月末まで南西部にある出水の小川のサトザクラなどが引き続き見頃で、おすすめです。
近衛邸跡について
京都御苑の北西部に、五摂家筆頭とされる近衛家の邸宅跡があります。
かつての庭園にあった池は今も「近衛池」として残っています。
今出川駅からのアクセスが良好です。児童遊園も隣接している市民の憩いの場として人気です。
入苑情報
入苑時間 | 日中随時 |
---|---|
入苑料 | 苑内自由 |
住所 | 京都市上京区京都御苑 |
アクセス | 地下鉄「今出川」より3分 |
公式ホームページ:京都御苑 | 一般財団法人国民公園協会
出水の小川のサトザクラ
見頃は4月中旬~下旬
- 4月中旬~下旬に見頃のサトザクラ
桜終盤戦の主役・サトザクラ
京都を代表するサトザクラの名所
京都御苑の南西部の出水口と下立売御門の間にある「出水の小川」は、サトザクラ(里桜)の名所です。
ソメイヨシノが散りはじめた4月中旬から咲きはじめ、4月下旬まで見頃が続きます。
サトザクラとは、桜の園芸品種の総称ですが、特に遅咲きの八重や半八重の桜を指す場合が多いです。
出水にお小川では、関山(カンザン)、普賢象(フゲンゾウ)、松月(ショウゲツ)、御衣黄(ギョイコウ)などのサトザクラが咲きます。
いずれも、サトザクラとしては良くみかける花です。
一番人気は、緑色の花を咲かせる御衣黄です。
サトザクラは散り際には花ごとぼとりと落ちます。
小川では、たくさんの桜が流れてくる景色を楽しむことができます
小川のほとりでは様々な花が咲き誇り華麗に彩られる
出水の小川の魅力は、桜だけではありません。
川沿いでは、サトザクラと同時期に、山吹(ヤマブキ)や霧島躑躅(キリシマツツジ)、満点星(ドウダンツツジ)なども開花し、華やかに彩られます。
出水の小川について
京都御苑の南西部には、「出水の小川」という約100mの人工の小川が流れています。
夏場には、川遊びをする子供連れで賑わいます。
1981年に親水公園として整備されました。
小川を流れる水は、当初は琵琶湖疏水を水源とする御所水道の水でしたが、今は地下80mからくみ上げた井戸水です。
入苑情報
入苑時間 | 日中随時 |
---|---|
入苑料 | 苑内自由 |
住所 | 京都市上京区京都御苑 |
アクセス | 地下鉄「丸太町」より8分 |
京都御苑内各所の多彩な桜
見頃は3月下旬~4月中旬
- 3月下旬~4月上旬に見頃の出水の枝垂桜
- 3月下旬~4月中旬に見頃のヤマザクラ
- 4月中旬に見頃の御車還
最初に開花する「出水の枝垂桜」
京都で最初に見頃を迎える出水の枝垂桜
京都の中心部に数ある枝垂桜の中でも、最も早咲きなのが「出水の枝垂桜」です。
前述のとおり、同じ京都御苑の近衛邸跡には、出水の枝垂桜をさらに上回る早咲きの枝垂桜がありますが、名のある桜としては、京都中心部最速といってよいでしょう。
近衛邸跡とは異なり、周りに他の桜がない一本桜です。
名のある桜としては、京都御苑内でも一番人気の桜でしょう。
出水の枝垂桜は、ただ早咲きであるだけでなく、美しい樹形でも人気です。
傘を広げたような桜は、遠くから見て良し、近くから見て良し。
そして桜の傘の内側に入って見上げるのもまた良しです。
2021年3月16日にMK公式InstagramによるインスタLIVEで、出水の枝垂桜を紹介しました。
この投稿をInstagramで見る
京都御苑内で最も多い「ヤマザクラ」
貴族が楽しんだヤマザクラ
京都御苑内には、枝垂桜やサトザクラ、カスミザクラ(霞桜)など様々な桜がありますが、最も多いのはヤマザクラ(山桜)です。
ヤマザクラの特徴は、葉と桜が同時に出るところです。
平安貴族らお花見が楽しんだり、歌にうたった桜は、ヤマザクラでした。
開花期には個体差が大きく、3月下旬から4月中旬頃まで、京都御苑内各所で見頃を迎えています。
天皇も驚きの美しさの「御車還」
4月上旬から咲きはじめ、4月中旬に見頃を迎えるサトザクラが、中立売御門内にある「御車還(みくるまがえし)」です。
この桜の前を牛車(ぎっしゃ)で通りかかった後水尾天皇が、桜のあまりの美しさを名残惜しく思い、いったん通り過ぎてから引き返させたという伝説が名前の由来です。
別に「御車返(みくるまがえし)」という品種の桜もあるため、区別して「御所御車返」という場合もあります。
御車返が散ったあと、4月下旬に見頃を迎えるカスミザクラ(霞桜)で京都御苑の桜シーズンは終わりを迎えます。
京都御苑について
京都市街の真ん中に広大な緑が広がる京都御苑は、京都市民にとってオアシスのような存在です。
江戸時代までは皇族や公家の屋敷が建ち並んでいたところで、幕末維新期には、数々の歴史的事件の現場となりました。
出水の枝垂桜
入苑時間 | 日中随時 |
---|---|
入苑料 | 苑内自由 |
住所 | 京都市上京区京都御苑 |
アクセス | 地下鉄「丸太町」より8分 |
おわりに
3月下旬の桜シーズンの始まりから、4月下旬の桜シーズンのラストまで京都御苑では常に様々な桜が見頃を迎えています。
いつ訪れても良い桜スポットなので、京都御苑の桜をお目当てに訪れるのもよし、他のスポットと組み合わせて訪れるのもよしです。
MKタクシーの観光ドライバーであれば、京都の桜の開花情報を常にを把握しています。
MKの観光貸切タクシーなら、京都の春を心行くまで楽しむことができます。
観光・おもてなしのプロといっしょに一味ちがう京都旅行を体験してみませんか?